熟成の話

住職

2007年09月05日 22:00

自分なりに、「泡盛の熟成」について、考えをまとめています。

今の段階では、多くは語れませんが、古酒造りをする方の参考になればと思っています。



古酒造りは、個人でも、酒造所レベルでも、教えてくれる人が少ないと感じます。

解っているのに、言わない。予想できるのに教えてくれない。

この事は、失敗を経験し、古酒のすばらしさを知る上で重要ですが、

泡盛には不幸です。

これだけブームになったのに、甕の選択や蓋の問題、メンテ等、失敗はあとを絶たない。

悲しいことです。

その中で、甕における、古酒作りでは、

多くの方が早期に甕の善し悪しの判断をしている事に疑問を感じました。

その事で、私の考えが、カラカラの長嶺氏の『泡盛放浪記』(新報の毎週金曜日、朝刊掲載)に掲載されたのですが、

その話を詳しくすると、

甕の失敗の大半である甕臭(容器臭)は、

甕壁から出る、金属イオンと、土本来の珪素などの香り成分に分かれます。

それぞれの成分溶出は、焼きの強弱に関係し、強いと泡盛の熟成を手助けする金属成分の流出が多く得られますが、

弱いと、土っぽい香りを多く含み、過ぎると泡盛の香りのバランスが著しく悪くなる。


私の言いたいのは、ここからですが、

甕の善し悪しに関わらず、初期段階では熟成香のバランスを崩しかねない「成分の溶出」が生じます。

しかし、熟成が進めば、その成分も、他の成分と反応し、香りが変化する。

記事にあった、「熟成香に凌駕される」と言うよりは、甕臭だった成分が熟成香へ変化するんです。


元々、泡盛は新酒から「古酒」表示までが3年。

その期間も、香りの変化(成分変化)に関連しています。

それと同じくして、

甕酒では甕独自の香りが溶出し、それが変化に至るまで、異なる熟成過程が確認されているので、

甕熟成には、独自の基準が存在しても、不思議ではないというのが私の考えです。

甕熟成の古酒は、5年以上とか10年以上とか・・・です。


自分の甕酒におかしな香りがある!

甕独特の香りではない!・・・・等々、

1年や2年で、早期に判断してませんか?

泡盛の力は、そんなものではありません。

待つのも古酒作りの極意です。(いまさらですが・・・)

急いては事をし損じる・・・ですね。


長くなりましたが、経験した話をすると、

以前にも、甕臭の強い酒(甕)に出会い、途中で瓶に移し、容器を変え熟成を待った経験があります。

2、3年後には、大変良い熟成をした泡盛がありました。

甕も、流出成分が減少して、その後の泡盛は落ち着いてくる。

現に酒造所でも、甕を育てる話を聞きいています。

くどいですが、泡盛の力は、想像をはるかに越えています!

ですから、私は容器を変えて熟成を待つ方法や、「そのままで、もう少し待ってみたら・・・」と言っています。


あてぃん喜ぶな、失てぃん泣くな、

甕の善し悪しや、後る知ゆる・・・・でした。

(酒の善し悪しや、後る知ゆる)でも良いですね。


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