2011年08月17日

尚順男爵の時代



尚順男爵の本では、戦前の首里におけるクース事情がうかがえます。

その他の文献も含め、首里には300年古酒(康煕年製)のクースもあったとそうです。

150年くらいのクースなら、ざらにあったというから驚きです。

その時代のクースの飲み方は、県内はもとより、海外の文献からも明らかですが、

今の時代、色んな文明が発達した状況下ですと、

クースの飲み方もかわるんだろうナ!という想像をしてしまいます。

特に、冷蔵庫のある生活は、食文化を大きく変えました。


尚順男爵の時代のクースの飲み方に対し、大きく変わったのは氷の存在です。

さて、いまの時代に男爵が居たとして、クースに氷は入れなかったのでしょうか?

私の想像はこうです。

30~50年の古酒は、氷を入れても美味しく頂ける。

比較的若いクースは、香りも元気もあるので、氷の力で香りを抑え、

口の中で広がる香りを、感じながら味わうのも、良い!

もしかすると、こんな話もしているかもしれません。


香りの良いクースを、ロックで飲むと、美味しさをしみじみと感じます。

飲み続けられるのは勿論、クース香の中でも、繊細な華やかな香りだけが、

開いて出てくるように感じるんです。

そしてある程度、クースが更に熟成感を増すと、その飲み方に無理を感じるようになる。

香りの立ち方が、弱くなっていると感じ、出来なくなるのでは?

そうなると、チブ小のような酒器でも十分に味わえるようになる・・・かも。


私は、戦前の泡盛を飲んだことも無ければ、60年を越える酒はまだ出会っても居ません。

150年の酒ともなれば、恐らく仕次ぎされている・・・とは言っても、

超クースにしかない特徴的な香りがある!と想像します。

少なくとも、30年くらいのクースを飲んだ数としては、

戦前の飲み手にも劣らぬ数になったのでは?と自負します。


今の段階での、美味しいクースの飲み方は、

これも有りかな?という感覚です。

あくまで、自分のクースとして、飲み方を参考にして下さい。

クース会の席で人の酒で行うと、避難されますから、

酒座の話題としての扱いでお願いします。

  


Posted by 住職 at 22:00Comments(2)泡盛

2011年08月15日

甕の善し悪し 2



前回挙げた漏れたり、染みたりする例。

原因は、

1.陶器の「厚さ」が充分でない

2.「焼き締め」が充分でない

3.土の質による

といった原因で、酒の欠減が起き易い状況です。

その中で、土の質については、専門家でも難しい項目・・・。

詳しくは調べていませんが、酒甕の品質としては、

焼き締めに耐えうる土で、収縮率の高いかつ、扱いやすいなど、

良い甕造りの土には、様々な条件が重なってきます。

多くの作家は、何度も失敗を繰り返し、甕を造っています。


また、最近は甕選びの基準に、厚味の確認で「音」への信頼が語られてますが、

私は、あくまで目安だと思います。(音に目安?もおかしいですが?)

特に「薄い」と音も高くなり、解り難い。

素人は、ごまかされやすい基準でも有ります。

酒の浸透圧はバカになりませんから、

薄いと良い音でも、しっかり染みるタイプも存在します。

大事なのは「厚さ」にも気をつけること。

この件は、浸透圧と陶器の肉厚の関係ですから、

5升甕でも1.5cm、1斗だと2cmは欲しいのが希望です。

でも厚いのは、「焼きの丁寧さ」が必要で結果、高価になる。

この厚さを確かめ、しっかりと高い音が得られるのが、良い甕選びの基準になります。


このことでは、陶芸家のある方に伺ったのですが、

「薄くても、漏らないもの、染みないものはある!」

でも、薄いと割れやすく、浸透圧に対するリスクも大きい。

また、酒は品温が有るから、この時期、どうしても気温より低い。

梅雨の時期に、甕の表面にカビが出るのは、そうした酒の温度が、

甕の表面に結露を発生させる原因となり、カビが出やすくなる。

当然、放置すると中に影響するので、こまめに手入れすることが大事・・・。

と聞きました。

つまり、染みている時にも同じ現象が発生するので、

薄いつくりの甕は、染み出ている状況も確認し難い。

避けるべき!とだけ書いておきます。  


Posted by 住職 at 22:00Comments(0)酒器

2011年08月15日

お盆用の泡盛



写真は、関係ないです。

神泉の古酒は、クース会で呑みました。

美味しかった~。


お盆用の泡盛というと、お中元のこと?とも考えます。

どちらでもよいのですが、今年は、長期熟成タイプの泡盛を手配しまして、

お中元にも使いました。

ビールより割高ですから、2本セットで使いましたが、

「昨日早速、どうやって飲むのか?」

「飲んでいる皆に、どう説明すればいいか?」

と聞かれました。

長期で熟成させて飲んで!とお願いしたにも係わらず(笑)、

まずは試飲ということでした。

でも、第一声は「甘い」・「美味しい」との話でしたので、

喜んだものの、私にはちょっと不安も・・・。

私の回答は、

米の油(高級脂肪酸)が多いので、甘いのは感じるはず・・・。

美味しいと感じるのは、当たり前かも知れません。

と・・・。

呑みすぎると、体調によっては、翌日残るのが心配だったのですが、

「開けたら全部飲んでよ~、翌日感想聞かせて!」とも、

酒は強いので、調査資料に・・・。


酒は飲むもの・・・ですね。  


Posted by 住職 at 22:00Comments(0)泡盛

2011年08月14日

甕の善し悪し



写真は良い甕ですよ~。

忠孝さんの甕です。


甕の善し悪しについては、専門家の言い分も様々です。

なぜ、今頃「甕の善し悪し」か?ですが、

甕は、気を抜けないアイテムだと感じています。

そう思うと、その度に書きたいように書く・・・。

それが泡盛の為にもなると思うので、書きました。


最近も、シャム南蛮についての個人的ナ見解に腹を立てた事がありました。

甕の善し悪しって、こんなにも意見が変わるのだろうか?

ある意味、勉強不足というか、人の寿命で得られるデータでは、

泡盛に笑われているようで、もっと真剣に考えなければと感じます。


私はあくまで、甕ことは、酒目線で考えないといけない!と思うんです。

芸術性とか、使いやすさとか、甕選びのポイントは幾つかありますが、

人の好みはあくまで二の次。

先ずは酒目線であることを優先にしないと、失敗も増えます。

一方、良いクース造りの観点からすると、

酒の力・原酒の良さも深く関係します。

具体的には、濾過で枯渇した「油分(高級脂肪酸)」の無い原酒では、甕負けします。

あくまで詰める泡盛は、古酒用としてポテンシャルの高い「粗濾過」などを想定し、

考えてみました。


まず考えなければいけないのは(酒の立場からすれば)漏れないことが最先決です。

口の密封が悪い!などは、人的なミスですから無関係として、

漏れて無くなる甕は、一番イケナイ甕です。

でも、「甕は呼吸するんでしょ?」という人がいます。

多くの専門家は、呼吸をしても減るのが多いとダメ!と答えます。

じゃー、許容範囲は?と聞かれると、樽が年に3~5%なので、

そこまで減ると、樽より密閉が悪いということで、私的にはアウトです。

1%でも1斗甕から、年に1合(180ml)も減るんです。

10年で1升分になりますし・・・大きい。

やはり良い甕は、ほとんど減らない容器だ!と思います。

そこまで欠減すると、私はまず漏れを疑うという範囲です。

例えば雨季などの湿りのある季節で、

甕の表面に白いカビが発生するケースがあります。

そんな現象があれば、おそらくは目に見えない量で少しづつ染み出ている可能性もあります。

これが、目で確認し難い、一番厄介な甕の代表でもあります。

原因は、焼きや土の質、肉厚不足と広範囲に及びます。

続く・・・。  


Posted by 住職 at 22:00Comments(3)酒器

2011年08月14日

お盆の泡盛



写真は、三味線立てが気に入り撮った写真だと思います。

曲線美ですね。


月日の過ぎるのが早いもので、今年もお盆です。

沖縄の田舎も、すっかり新盆に変わってきましたね。

その昔、お盆は新旧2回あった時代が懐かしい。


さて、私も泡盛と付き合いが長くなりましたので、

お盆・正月(ヒチガチ・ショーガチ)には、特別な酒を配ることも多く有りました。

クースだけではなく、その家の家宝造りじゃないですが、

新酒も何度か有ります。


特別な新酒は、数を注文しますから、

親戚や有人にも、お裾分け的にお中元と一緒にあげるのですが、

数年たつと、自分の希望といいますか?

言っちゃいけないんですが、どうなった?と聞いたりして、

それが、大切に保管していたら、いいのですが、

時には「どこに行ったか解らない?」とかもあって、がっかりすることも・・・。


気持ちは、完全なプレゼントというよりも、

どこか、一緒に呑みたいという希望があるんでしょうね~。

人ににあげといて、勝手です。


と言うより、あげるときは、「何年か置いて、一緒に飲もう!」と言われるから、

こちらも、いつ出すのか?と気になっているのかな?


流れは、こうです。

行くと、いつも泡盛の話になります。

クースを持たずとも泡盛の話になるので、もって行も多く、

いつもクース持参では、変に期待されるので、

10年ほど前からは、目立って新酒をもって行くことも・・・。


自分も持っていますが、考えると「あの酒はどうなったのかな?・・・」と、

気になる時間が経過しました。

ケチなんでしょうかね。。

時には、私の持参した酒の自慢話もあり、「より飲ませろ!」と思う私が居て、

少しでも飲めたら、ホントに大事に育ててくれたと感謝する事はできますよね(?)

また、持って来たくなるから、飲めないのも「それでいい!」と納得する自分がいたり、

泡盛が生み出す不思議な気持ちに、笑える自分がいます。

泡盛文化人としては、相手には言えない話ですね。

格好悪すぎます・・・。(笑)  


Posted by 住職 at 04:34Comments(0)泡盛

2011年08月10日

泡盛の戦略



先週の台風9号は、丸一日以上の暴風雨でした。

沖縄本島でも降雨量600mmを超えていると言いいますから、記録的です。

明け土曜日には、目の前のポストに新聞を取りに行くにも、

ずぶ濡れになるほどの暴風雨でした。

でも、新聞には泡盛の情報が在りました。


泡盛の戦略---

今回の沖縄振興策に盛り込んだ酒税軽減措置の延長。

前回も同じ要請をしたのですが、国の対応を比較すると、

前回とは打って変って、今回は前向きな対応しているとの事。

沖縄振興策は、45歳になる私が生まれたときから、既に施行されていた政策です。

戦後沖縄の本土との格差を縮小する政策は、60年余を過ぎて尚、継続中。

補助金漬けの沖縄経済。

そろそろ、終わらないと、甘えの構造が根付いていると批判の声も有ります。


酒業界から提示されたアイディアは、基地負担などの振興策で、

ひどい扱いを受けた県民への罪滅ぼしなのでしょうか?

今回は、国も前向きな対応のようです。


業界の提案は、酒造組合とオリオンビールが手を組み、

初めての試みる共同事業事業です。

輸送コストの低減、更に本土向け飲料の開発など、厳しい状況を脱する計画・・・。


でも、今更提示する計画でしょうか?という厳しい意見も聞こえます。

その理由には、幾つか在りましたが、

先ずは、輸送コストは価格全体に対しどれほどの割合なのか?

また、結果からの目標には、焼酎シェア(5%→10%)の拡大が含まれるが、

甘くは無いのか?

その「絵に描いたモチ」の戦略を、醸造酒のオリオンビールが共同で行うということは、

シェアの拡大は、見込めないとない!と考えているということなないのか?

一般論でも、大きな変化は期待できない!という印象です。


泡盛業界に目を向けると、組合を中心にして、まとまっていると思えない。

漏れてくる話は、「策の延長は、皆が望んでいない」こともあります。

役員各社には、本土の焼酎が競争相手!という気持ちがあるのか?

と考えてしまいます。


本土には、沖縄の業者が束になってかかっても、

一業者の売上げガ届かない会社が幾つも有ります。

業界No.1の「いいちこ」でおなじみ「三和酒類」では年商600億、

泡盛全体の2倍以上です。

彼らに学ぶことは未だにたくさんあるのではないでしょうか?

桶買い桶売りは、オープンに共同制作の基軸になっていますし、

麦焼酎の季節と、ほかの原料の季節では、関連企業まとまって、

原料を変え、別の製品に切り替えるるなど、協力体制が凄い。

一方、そんな本土企業と比べてか?

「沖縄の泡盛メーカーは、戦後60年経って、今尚、企業が育っていない・・・。」

という、泡盛ファンの重鎮の言葉もありました。


ちゃーすが!泡盛。ですね。
  


Posted by 住職 at 05:51Comments(1)泡盛

2011年08月09日

銅製の蒸留器(TVより)



銅製の蒸留器・・・。

このブログで取り上げたのは、ずいぶん昔の話ですが、

呑みやすい酒が出来ると掲載した覚えが有ります。


番組では、県内唯一と話でいましたが、直火を入れると、

八重山の白百合が昔ながらの銅鍋でした。

この型の蒸留器では、勿論唯一。

お金掛かっています・・・。



琉球泡盛倶楽部(ブログ)の連絡で、

クースの日のイベントが掲載されていました。

9月4日「クースの日」、料亭那覇での開催です。

会費は会員5千円、一般6千円。

料理の内容に、ミヌダルやドゥルワカシー、豆腐ようなどを入れ、

持込のクースとの組み合わせで、皆さんに泡盛を堪能してもらいます。

いつものように、琉球舞踊もありますので、

華やかに盛り上がりのあるクース会のなる事請け合いです。

今回の予定は50人。

古酒は、お楽しみの内容です。

料理も持ち帰る程の内容なので、私も楽しみです。

申し込みはブログで確認下さい。







  


Posted by 住職 at 08:12Comments(0)泡盛

2011年08月09日

44度 本日到着



特別注文した44度の泡盛が本日納品します。

50年以上の長期熟成に耐える泡盛が欲しかった・・・。

最低限の粗濾過で瓶詰めしてもらった泡盛ですが、

年々の年かが楽しみです。


  


Posted by 住職 at 07:56Comments(1)泡盛

2011年08月03日

酒器の陶土

この酒甕は、初期喜納でしょうか?

いい甕でした。



私の周りには、先生がたくさんいます。

「酒器」については、疑問があっても骨董だったりして、

悩んでも、時代が違うので、調べるにも一苦労ですが、

とりあえず、一人で悩んでも、しょうがないので、

本部町の島さんのところに寄り、疑問をぶつけたりします。

島さんは凄い博学。

私は、焼き物と話が出来ると思ってますから、大体の事は即解決です。


先日は、沖縄の酒器で士族の使っていた「紫泥の酒器」の話をしていただきました。

丁度、島さんも4月から土造りを行っていて、ナイスなタイミング。

本来、茶碗やぐい呑などのこだわりの道具は、壷や雑器とは違い、

より細かな、土を使わなければよいものが出来ない!との事で、

昔から違いが陶土にもあっただろうとの事でした。

昔は今のような道具が無いので、自然に崩れた山に雨が降り、

たまり水に少し出来た細かな陶土だったり・・・、

自然水簸(すいひ)だった。

より良い土を造ろうとすると、面の様な生地あるいは絹などを使い、

もっと細かな、粒子だけを濾し取る・・・。

手間の掛かった土だったはず・・・と。


丁度、同じような茶碗用の土造りをしていた島さんだったが、

汗だくで一人、赤土まみれで、まるで戦場の兵士のような姿で、

手を止めて、話をしていただきました。

納得でした。

有難う御座いまいました。



【水簸】陶芸辞典より
土の粒子の大きさにより、水中での沈降速度が違うのを利用して、
陶土を泥水とし、早く沈殿する砂利や粗粒を取り除き、
原土から粒子の細かい坏土だけを放置沈殿させて採取すること。





  


Posted by 住職 at 07:39Comments(0)酒器

2011年08月03日

クルチ(黒木)



写真は、黒檀で三味線の棹の材料となります。

今となっては貴重な木。

それも、八重山の旧家の解体で出た材料といいますから、凄い財産です。

沖縄では「八重山クルチ」と呼ばれる貴重な木。

三味線を嗜む人なら、いつかは八重山クルチ(棹)の三味線を・・・というほど物です。


泡盛を趣味に持つと、色んな文化に触れることが出来ます。

写真の件も、泡盛をが持つ縁から出会えた出来事でした。

そういう意味では、泡盛やクース文化に対する認識も、これから高くなっていきますし、

趣味としての品格も、上がっていくと確信しています。


ヨーロッパでは、「趣味はワイン」といえば、医者や弁護士が多いそうです。

セレブな感覚というより、知的な趣味のイメージですね。

シャンパンや白・赤、貴腐・アイスワインなど、種類の多さに加え、産地世界中。

味や香りのバリエーションも、知識がないと表現できません。

ワインのソムリエともなれば、色んな知識を持つ博学なイメージです。

これからは、泡盛もそうなっていくことを願います・・・。


昔は、お酒といえば「お薬」だったそうです。

お医者さんの専門ですから、医者の酒呑みは多かったんでしょか?

こんな話をすると、酒が欲しくなります。

私は自分でも思うのですが、酒が入ると、ブログ以上の良い話をしてます。(?)

そのときは、自分でいい話だな~と思いながら話すのですが、

帰ってPCに向かうとスッカリ忘れていまして・・・。

悲しい。
  


Posted by 住職 at 07:00Comments(0)芸能