2012年11月22日

今月の事情



三味線屋の写真ですが、メーカー直売店って、どこのメーカー?

三味線のメーカーって聞いたことないので、気になり掲載。

どこ?


今月は、「泡盛の宴」をはじめとするイベントに参加できていません。

先月末から、4回の出張がイベント参加を妨げています。

そして、今週末の離島フェアーも、旅行で厳しい事情となっています。

忠孝酒造の蔵祭りもありますが、世の中、連休ですので、

たまには旅行を・・・と遠出しています。


さて、最近の泡盛事情の話。

離島フェアーや忠孝蔵秋祭りが、今週末にあります。

離島フェアーでは、「舞富名」の入波平酒造が、

63度の20年オーバー古酒を販売する予定で、

各酒造所にも、刺激になりそうな予感。

原酒ブームに火を付ける印象深い味わいであってほしい・・・ですね。

その他にも、44度販売の噂がある某酒造所の話・・・など。

原酒系の話題が多くなっています。

忠孝の蔵祭りも、イヌイ菌の3日麹が販売されるとの情報。

イヌイ菌は、現行で一番使用されるサイトウイ菌、アワモリ菌、

そのブレンドと比較しても、味のある泡盛に仕上がっていると感じます。

単に「黒麹」と言っても、挙げた3種類以外にも、

ウサミ菌、アウレウス菌、

八丈島のイモ焼酎工場より分離されたバタテー・サイトウ菌などが、存在する。


発酵で造る酒は、泡盛では2種類(黒麹菌と酵母菌)の菌が使用されるが、

近年、色んな酵母の使用を試み、味わいのバージョンも増えている。

その話題でも、忠孝酒造は、他に先駆け自社酵母を使用、

その後、マンゴー酵母の使用でも貢献している。

造りでも、昔造りの「シー汁浸漬法」が話題となった。

最近では、忠孝蔵の小さなロットを生かし、

色んな麹菌のしようを試みている。


琉球泡盛倶楽部では、今月のイベントは無いが、

近く、新しい菌、新しい造りの酒に目を向け、

飲み比べができないかと提案してみたい。

できれば、小さなロットの忠孝蔵で、

自分達のオリジナル泡盛を製造してもらういたいとも考える。

楽しそう・・・。
  


Posted by 住職 at 22:00Comments(1)泡盛

2012年11月20日

泡盛の歴史 2



前回の記事で、私のクースへ異常ぶりが解って頂けたかと思いますが、

同じような考えの人は他にもいると思うし、

クース馬鹿は、今や認知されつつあるので、今後も堂々と書きます。


クースは育てれば育てるほど、私のような感情が湧きますし、

情も大きくなります。

理解できる人には、「宝」ですから、より良い評価を受けたい・・・。

造るノウハウについては、人にすぐ、美味しいクースを造られては困るので、

情報は自分だけの秘密で、工夫などは他言したくない。


持っている事も言わなければ、育て方も言わないのが普通です。

クース持ちの間では、もっとマイナーな話も聞けますが、

それを聴かせたところで、役に立たない人には聴かせない。

それが、本物のクース持ちの本音です。


鑑評会の話は、今や蛇足かも知れませんが、

評価は、20人の審査員で、厳選に行われます。

この酒が県知事賞、この酒が優秀賞・・・と、決められますが、

自分の酒の良さを基準に飲むと、「本物は他にある」と思うことも度々。

なぜなら、嗜好品だから・・・個々の主観は違うので!

クース持ちには、「クースを知っている者と、知らない人の違いかも?」

と考える人が、一般的かも知れません。


いずれにしても、時代の流れで、

クースに関する考え方が、変わってきている事実は否めないし、

昔の話をしたのは、そんな考えもあることを伝えたかっただけです。

でも、昔が正しいとも言えませんし、今が進んでいるとも言えない。

選択肢は飲む人にあるかな?と・・・。


酒の立場で話をすると、出来上がりにムラはあっても、

鑑評会に出品される酒は、全部選ばれた健全な酒。

人間にたとえると、生まれたては、性格も分からない・・・。

育て方は、人それぞれ。

可能性がある生まれたての古酒を鑑評するのは、

慌て過ぎ!だとも思えます。


良い古酒の可能性は、時間と維持管理に比例している。

そうでないと、古酒が「宝」にはならないはずです。
  


Posted by 住職 at 22:00Comments(1)泡盛

2012年11月19日

泡盛の歴史



今更のタイトルですが、真面目な内容です。

私なりの泡盛の捉え方で申し訳ございませんが、

泡盛文化の発祥話を一つ書きます。


「泡盛文化」という言葉は、皆さん、捉え方がそれぞれですが、

私の中では、以下に書くことが根底にあります。

例えば、山原島酒之会にも、会則に「泡盛が醸す文化・・・」と出てきますが、

私と相通じる心があると思います。

世界中、どこ酒とも違う、泡盛独自の変わった文化の発祥・・・。

その話は、大事だと思うので、あえて書いてみました。



泡盛は昔、王様の接待用として造られた宮廷酒です。

古酒として飲まれた記録は、新井白石の文献など数々ありますが、

それによると、1700年代には既に「密封7年にして之を用ふ」など、

江戸上りの献上酒にも、7年以上の古酒が使用されたようです。


古酒は製造と同時に貯蔵・保管され、必然的に飲まれるようになった。

それが、民間に下ったのは、上流階級(士族)の人々が、

琉球王の宮中(冊封使)接待で使用するクースの素晴らしさに気付き、

王様の奉納用以外の酒(残り)を、良い酒から、大枚を叩いて購入したことに始まる。

良い甕を手に入れ、銭蔵(宮中の酒蔵)と同様、貯蔵・管理した。

年を重ねるごとに、芳醇さを増す古酒の味わいには、驚きの連続だったと思います。

民間では、趣味としてのスタートですし、個人の持ち物ですから、

ブレンド技術や仕次ぎの技術も変化します。

単に、飲んで無くなる酒に、継ぎ(買い)足すのですが、

複雑に味わいを増す事などを学び、

「仕次ぎ」というクース維持技術は民間では、

飛躍的に変わったかもしれません。

とにかく、沢山のクースが育てられたのは言うまでもありません。


上流階級の趣味として始まった泡盛古酒造りですが、

やがて、その貴重さから「家宝」まで上り詰め、

各家のステータス・シンボルになった経緯があります。

ステータスとは「社会的な地位」、そのシンボルであるクースは、

家の「格」を表し、それこそ、高い地位や身分を示した。

はじめは、一部の人々に始まった古酒造りも、

披露するごとに、人々の中に広がる。

徐々に、こぞって良いクース造りが流行ったことは、

十数年前の、現代と変わりません。


そんな中、良いクースを持ちたくても、

クース造りを指南して頂くには、苦労したのではないでしょうか?

今のように聞ける人もおらず、さて、誰に聞こうか?となったはず・・・。

持っている人も、良い酒を持っている事は、公に自慢するものでもないので、

各自の情報で、古酒持ちを訪ね、知識を仕入れるしかない。

そんな事だから、指南してもらうのも、一苦労・・・。

古酒の維持管理法も、個人個人で違う。

限られた情報で古酒を造るしかない。

良いクースを持つのは、今よりはるかに難しかった状況が伺えます。


クース造りの勉強中・・・、飲ませてもらっているのに、

「あの家の酒は、この家の酒より美味しかった・・・」などの話は、御法度です。

「家の格」を比べるのだから、下手すれば首が飛ぶ!

だから・・・と言うのはなんですが、良い酒を飲ませてもらうにも、

時間が掛かるし、お互いの信頼関係が不可欠。


常識的なマナーというか、品格のある対応は、

・初めからクースを、求めない!
・扱いの礼儀は、身に付けている

が、最低限の心掛けだったろうと思います。

・飲ませたい!と思わせる礼儀を身につけている。
・良い酒(酒癖が無い)を飲み、場の雰囲気を壊さない
・酒や持ち主を敬う心を持ち合わせる

などが必要で、持ち主を喜ばせるテクニックも品格の内だと思います。


この様な背景を考えると、クースなんて、難しくて飲めない・・・

ましてや、酒の場なので、誰も約束できない・・・などと、

言う人はいるはずですが、ここまで来ると、そんな事を言う人は問題外。

クースの話は、出来る人でもない。


先ずは「クース」には、そんな時代もあった・・・と意識することも大事。

昔ながらの気持ちを持ち合わせて飲む人がいるんだ!ということを、

理解して頂きたいと思います。


世の中は、変わりました。

今の時代への矛盾を、続きとして書きますが、

ブログの中の気持ちと、クースを思う気持ちとのギャップは、

鑑評会の様な泡盛産業界の話になれば、余計に大きくなります。

言えば、民間で一生懸命、クース造りをしていた頃の話は、

出来ないものか?・・・と


続きます。  


Posted by 住職 at 22:08Comments(5)泡盛

2012年11月09日

鑑評会について



前回、今年の鑑評会結果について書きました。

改めて、受賞した商品の関係者皆様には、お祝い申し上げます。


お祝いは別として、鑑評会については、感じるまま書きたいと思います。

今回の3年古酒、2酒造所の受賞については、

今後、3年で受賞した実績が残るので、

他の酒造所の出品にも確実に影響すると考えます。

というのも、数年前に「おもろ」が6年で受賞した時に、

6年で受賞!という新記録に、業界の目標が6年以内になったと感じました。

同じ賞となれば、横並びで比べたいのは人の心。

3年と10年で、「うちの10年が、あちらの3年と同じ・・・」

となるのは当然で、長い方には、忍びない結果になります。

それぞれの酒造所の味わいには、変化の時期がある!とはいえ、

片や3年で評価され、うちは十数年・・・というのでは、あんまりです。

皆さんこぞって短期での受賞を目指してくると考えてしまうのが、当然です。


我がブログでは、今後も県知事賞の関係記事に触れると思いますが、

懸念するような事にならぬよう、切に願うばかりです。


泡盛を人間に例えるこのブログの物言いをすると、

3年古酒はあくまで、美少女コンテスト的な酒で、

もしかすると、子役コンテストとも取れる酒齢でしかない・・・。

本物の泡盛古酒の気品とか、味わいをまとうのはまだ先で、

ある程度の貯蔵管理も必要。

酒造所で売れる範囲で、長期熟成管理の高い技術を感じる古酒が、

古酒持ちのお手本として受賞されるのが、私の好みなのか・・・

と考えます。

理想と、現実の違いもよく解っているつもりです。

酒は、嗜好品なので、その時の審査員でも変わります。

でも、泡盛・クースは地域の文化なので、そこも大事にしてほしい。

君知るや名酒泡盛・・・の坂口謹一郎先生も、泡盛の古酒を飲んだ時、

さぞ、感動したでしょうから、泡盛らしさを鑑評会には取り入れて欲しい

今回は、「お肌の手入れ」や「礼儀作法」、「社会的な知識」が付く前の、

少女の様な酒だと考えているのですが、皆さんはどうですか?。

最近では、かなり大人っぽい女性も増えましたし、

中学生でも大人に負けないプロポーションだって居る。

でも、やはり少女は年なりの成長で、話すと幼さを感じると思います。

「泡盛は、香りと味わいの芸術である」という話を聞いたことがあります。

芸術の域には、3年でも達することがあると言う結果に、

驚きもありますが、そのことについては、また次回書きます。

  


Posted by 住職 at 07:47Comments(16)泡盛

2012年11月06日

泡盛の香り



県知事賞:上原酒造(神泉3年)、宮里酒造(春雨7年)、
     高嶺酒造所(おもと3年)、県酒造共同組合(海乃邦10年)、
     新里酒造(古酒琉球10年)
沖縄国税
事務所長賞:忠孝酒造(古酒忠孝)、菊之露酒造(菊之露VIP-GOLD)、
      宮の華(華翁)、瑞泉酒造(瑞泉古酒)、 
      瑞穂酒造(ロイヤル瑞泉)、神村酒造(守禮古酒)、
      比嘉酒造(残波1999年・限定古酒)、崎山酒造 (松藤四年古酒)


今年の鑑評会の結果です。

読者からも、友人からも多数意見をいただきましたが、

今年は初めて、3年の古酒が受賞しています。

私も不思議ですが、「おもと」は6年で受賞した品質レベルだったのでしょうか?

同じく、「神泉」も「琉刻」と同じレベルだったのか?

ここ数年、鑑評会の結果を受け、関係者の考えが意図的な結果となっている!

というのが、私の率直な感想です。


鑑評会に、泡盛ファンが期待しない!となってきているような・・・

このブログでも、清酒の鑑評会がお祭り的になっている!

と書いた覚えがあります。

泡盛も、同じような道筋を辿っていると強く感じます。

まず3年が、2種類も選ばれたことについては、

良い意味では、古酒用としての酒質を評価した・・・なら素晴らしのですが、

そう言えるのでしょうか?

(ポテンシャルが小さいとは思えませんが、採点に関与してるとは考え難い)

影響を実感するのは、やはり、今年の「古酒表示の違反」の件です。

古酒の価値を高める為の鑑評会、「古酒の部」ですが、

熟成期間が短くなっているのは、

早飲みタイプに目を向ける施策として、意図的に行っているのか?と思えます。

造る側としても、3年で一流の古酒の称号が頂けるなら、

3年後に飲む古酒造りと、熟成技術に集約し、チャレンジ出来る・・・。


私から言わせば、「旬の文化」の日本では、熟成の良さが解り難い・・・

特に酒の世界では、東京農大でも、熟成は詳しく教えていないと感じます。

あえて言うなら、日本酒の古酒化が始まったばかりなので、

古酒はこれからの分野です。

泡盛では、独特の古酒香を特別に評価する為に「古酒の部」を置いたはずですが、

本来の熟成香など解らない人たちで、評価のしようが無かったのかもしれません。

マツタケオールやバニラ香、最近話題の「ソトロン」は無視?

とも思える結果?という感想です。


そもそも、鑑評会は、清酒のそれを見本としていると思えます。

清酒は、香りや味もありますが、技術的な違いを言うなら、

造りは、原料の米選びから、精米歩合の技術などもあり、

早飲みタイプとは言え、杜氏の技術の見せ所がある!

一方、泡盛は?と言えば、原料はすべて一緒のタイ米。

造りも機械化されて、品質は良くなってきている・・・。

古酒の部が特別というなら、「熟成環境」や「手入れ」。

それらの味の善し悪しに大きく作用する「熟成技術」が重視されている!

と思っていたのですが、

これからは「3年でいい!」・・・という結果になってしまいましたね。


自分たちの酒造所の味、

それぞれの酒の「熟成の変化点」を売りにする年数表示も、

これからは、どの酒造所も3年古酒で横並びで勝負する?

年数も若く揃って、解り難くなるかもしれません。

まずは、3年で知事賞が出たのは、5年や10年の価値が下がったとも

取れますから、一大事です。

悲しい結果です。

残波の13年は、優秀止まりは残念です。

萬座の7年も評価されなかったのは残念。

以前から、時雨は20年オーバーも出品していたのですが、

今回は18年?・・・それも、変わってしまうのか?


いっそ、受賞に漏れれば、安くなったりして、少しは喜ぶ理由もあるかも!

です(冗)
  


Posted by 住職 at 04:31Comments(8)泡盛

2012年11月01日

一郎屋でのテイスティング会



先週は産業まつりもありましたが、

一郎屋のテイスティングや、津波古酒造(太平)の蔵祭り、

仲間のクース会と、書きたいことは山ほど詰まっています。

時間が無くて、書けないだけなのですが、

予告したものについては、

報告をしないといけないので書きます。


一郎屋のテイスティング会は、最高でした。

参加者31人。

ちょうど、手頃なテイスティング会で、

初参加の方もいましたが、コミュニケーションも行き届く、

楽しい会だったと感じました。

スタート前に、ハプニングがありまして、

八重泉樽酒が液面低下で、交換を余儀なくされましたが、

ちょうど、離島の酒で同じ石垣の白百合があり、直前で変更、

テイスティングは写真の4本となりました。


テイスティングは、すべて4合瓶となり、

20ml/人で、4種類ほど・・・、一人80mlのテイスティング。

予定になかった白百合は、30年程度の43度で、

以前にブログ内でも紹介したような、

雑味の一切無いシンプルな風味のさわやかなクースになっていました。

今の白百合は、こんなクースになるか?というと、難しい・・・

何故、こんなに香りの良い女性的な・・・と聞かれると、

私は先ず、地釜直火の蒸留機の不思議さをあげます。

未知な力のある原酒できる。

そして、更に池原酒造所独特なのは、銅鍋です。

硫黄臭などを抑えるとされる銅素材の蒸留機は、

以前はどこの酒造所でも使われていましたが、

今では、池原と請福2Fのサキタリヤぐらい・・。

何らかの違いがあるのは、言うまでもない。


次に、玉の露。

この酒は、香りが飲む気を誘うほど、強い香りでした。

こちらも直火釜ですし、10年ほど前に、横型蒸留機が入り、

一部味が変化しましたが、その前の酒ですから、

価値が高いですね。

この酒を飲めた人は、直火の「玉の露」を、

買いたい気持ちに、強く駆られたと思います。


舞富名は、60度で25年くらい。

以前の「どなん」、国泉泡盛の番地(158番地)が、

ラベル上、一緒に表示されています。

いわゆるダブルアドレス。

平成元年創業当時のものと判断できますが、

いい香りになっていました。

当時の様子は、解りませんが、今の酒よりも力強く感じました。

入波平は、与那国唯一、縦型蒸留機ですが、

購入当時は、扱い?味の決定に悩んだのではないか?と思います。

今では、ゆくよかな味わいですが、

当時の原酒を一度飲んでみたいと感じる味でした。


最後は、一番に開けたのですが、

宮古の千代泉40度40年。

私は、ここの酒造所は見たことがないのですが、

とても、やさしい味わいを引出しています。

私の感覚では、やはり仕込み水の違いは大きいかと・・・。

宮古島は、200を超える硬度の水が、水道水から出ます。

今では、軟水機などを駆使し、酒造りをしていますが、

40年前ですと、こんな機械の影響も少ない時代。

そういう意味では、原酒の力が違っていたのか?と思わせる味でした。

残念ながら、風邪のひきはじめで、細かなノージングも困難な状態でしたが、

私が感じた4種類のクースの味わいは、以上でした。

参加した皆さんはどうでしたでしょうか?


瓶貯蔵でこの味ですから、甕酒ともなれば、

クースの味は、無限です。

今後、一郎屋さんではクースを決め、

泡盛愛好家向けにテイスティングも計画している!とのこと。

できれば、安い値段でお願いします。

ではでは。






  


Posted by 住職 at 22:00Comments(7)泡盛