2011年12月09日
ワインに学ぶ熟成(瓶熟のしくみ) 1

ワインの”瓶熟のしくみ”に学ぶと言っても、泡盛との比較は難しい。
成分の多くは違うし、熟成過程も異なる。
ですが、泡盛熟成のヒントにはなりますので、書いてみます。
まずは、泡盛にもある「物理的熟成」について。
泡盛でいう物理的な熟成は、水とアルコールのクラスター化。
ワインにも水とアルコールは存在するので、同じような熟成があります。
しかし、物理的熟成の一番の効果は、アルコールの刺激を和らげることですから、
酒精の弱い(15度程度)ワインにとっては、効果のある熟成とは考えられません。
そういう意味では、ワインの熟成は泡盛と違って、パンチ(刺激)は重要でなく、
主に「香り」と「味わい」に集約されていますね。
それでは、ワインでいう「香り」や「味わい」の変化
(化学的熟成)にはどんな成分があるのか?
その前に、熟成の総称として、泡盛の甕熟成が、
「酸化熟成」と呼ばれるのに対し、(瓶はあとから)
ワインは「還元熟成」と呼ばれています。
還元ということは、ワインは酸素が無くても熟成しているという事。
が、はたして、そうなんでしょうか?
変化の要素としては、当初から皮の成分に含まれる「タンニン」は、
熟成に向いている赤ワインのフルボディーに強く感じる成分です。
その他、健康に良いとされる「ポリフェノール」の成分で、
色に影響のある「アントシアニン」などが、ワイン熟成の
大きな要素だと思います。
調べると、還元熟成とは言っても、ワインは製造時に樽を使用します。
樽では、樽香であるバニラ香やタンニンも加わり、より複雑味が増します。
そして、さらに上記の要素の、酸化による熟成が進みます。
つまり、瓶に入る前に、酸素を取り入れ、酸化熟成をしている。
一定期間を樽に置き、瓶詰めすることで、他の成分や酸素も取り入れ、
瓶内酸素を蓄積する方法が用いられています。
泡盛をワインに例えると、樽酒もありますが、
一定期間甕熟成した後、瓶熟した泡盛のような商品が、一般的なワインなのです。
美味しくないわけがない。
泡盛でも、樽酒にしても甕酒にしても、しっかりと力強い原酒に、
甕や樽の要素を加え、酸化熟成を加えると、瓶貯蔵では骨格の太い原酒から、
しっかりとした熟成を遂げます。
一般的に、大まかな熟成の考えで書きました。
Posted by 住職 at 22:00│Comments(0)
│泡盛